第二章 覚醒
僕は、新たな世界を初めて歩いた。
場所は今までと変わらない、人通りの少ない細い裏通りだけど、僕の知らない世界だ。
今までは、長い前髪を通してだったから薄暗い世界が目に映っていたけれど、今はこんなにも色鮮やかな世界だったのかと感動すら覚える。
隣を歩く友人兼雇い主には感謝の気持ちで一杯だ。
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ふふっ、感動しているね。ようやく自分の美しさに気付いたと見える
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そら見たことかと得意げに言ってくるので、きっぱり否定した。
リリーナには、まったく僕の感動が伝わっていなかったらしい。
まあいいけど。
しかし彼女の指導で背筋を伸ばして歩いているから、僕との身長差がかなりあるのだと気付かされる。
さらに背には斬鉄剣を下げているので、横を歩くお嬢様然としたリリーナとの違和感が凄まじい。
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やっぱり、こんな背の高い女の子って違和感ありませんか?
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なにを言ってるんだ。むしろ、モデル体型だから世の女子の憧れだよ
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またまたご冗談を。それに、刀剣だって背負ってますし
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むしろ、凛々しすぎて憧れの的になるだろうな
僕の頬が歪に引きつる。
リリーナは当たり前のように言ってくるが、そういうこと言うのは止めてほしい。
もうこれ以上、僕の男としての尊厳を奪わないで……いや尊厳なんてものが、まだ残ってると思っていること自体が錯覚なのかもだけど!
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さて、ここからが本番だぞ
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はい?
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ここまではほとんど人が通らなかったから、気にならなかったかもしれない。だけど、今から歩くのは活気のある大通りだ。老若男女多くの人の目にさらされる。心の準備はしておいたほうがいい
僕は緊張に頬を強張らせ息をのむ。
どうか誰も僕の存在に気づきませんように、と願うばかりだ。
大丈夫、誰も僕になんて興味ないさ。
そして意を決し、リリーナに続いて喧騒でにぎわう大通りへと足を進めた。
次の瞬間、視界に眩い光が飛び込んできて強い圧迫感と息苦しさを覚えた。
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ぅっ……
想像を絶する空気感に思わず後ずさる。
無数の視線を感じた。
勘違いなんかじゃない、間違いなく多くの人々が僕を見ている。
ダメだ、気持ち悪い。
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っ~~~
僕は左手を口元へ当て下を向いてしまった。
周囲の雑音は耳鳴りになって頭をガンガン揺らし、動悸が激しくなってくる。
もう視界を遮る髪はないと言うのに、目の前も真っ暗に。
ごめんなさい、リリーナさん、僕は――
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――ルノ!
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っ!?
凛々しく高い声がすぐ横で聞こえた。
いつの間にか、右手を握られている。
そこから伝わってくるぬくもりは、じんわりと体の芯へ広がるようで、次第に視界も色を取り戻していく。
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よく耳を澄ますんだ。そして顔を上げろ。君へ向けられている視線は、決して悪いものじゃない
耳元で優しくささやかれ、僕は目を閉じて耳を澄ます。
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あんなべっぴんさん、この町にいたっけか?
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靴をなめたい
聞こえてきたのは、僕の想像していたのとは違った。
それは悪意ではなく、羨望や憧憬。
……なんだろう、この心の底から湧き上がってくる感覚は。
なんだか体が熱い。
もしかして僕は今、高揚感を覚えているのか?
熱に浮かされたようにボーっとしていると、リリーナはさらに強く手を握る。
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胸を張って顔を上げるんだ。誰も君を否定したりしていない。むしろ憧れているのさ。誇っていい、君は私なんかよりもよっぽど美しいんだから
一言一言が勇気を分けてくれるようだった。
僕は大きく深呼吸すると、リリーナの手を離し背筋を伸ばした。
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もう大丈夫です。ありがとうございました
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それでこそ、私の誇る友人だ
僕は今度こそ、リリーナと共に歩き出す。
周囲の好奇の視線を受け流しながら。
これでようやく、新たな世界を進むことができるのだ。
…………………………
しばらく歩いてようやく周囲に溶けこめてきたのか、僕への注目が薄れてきた頃、前方で悲鳴が上がった。
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ど、泥棒よ! 誰か捕まえて!
豪勢なドレスを着たやんごとなき婦人が必死に叫んでいる。
どうやら大事なバックを取られてしまったらしく、泥棒らしき角刈の男がこちらへ向かって走って来る。
通行人たちは怯えた様子で道の脇へと移動し、近づこうともしない。
もし巡回の騎士がいれば対応してくれるのだろうが、その姿も見えない。
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リリーナさん、危険ですのでこちらへ
僕はそう言って彼女を誘導しようとする。
今の僕の仕事は、リリーナ・クイントを守ること。泥棒と対峙して彼女を無防備にさらすことじゃない。
被害に遭った女性には気の毒だけど、僕はただの貧乏な一般市民なんだ。
しかし、リリーナは動こうとはしなかった。
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……嫌だ。ここで逃がせば、バックの中身ごと闇市場へ消えて二度と戻ってこなくなる。そうなると、あのご婦人が悲しむ
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リリーナさん?
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それを見過ごしたくはない
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なにをっ……
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ノブレス・オブリージュ。たとえ貴族でなくなったとしても、その気高さを失うわけにはいかないんだ
どんなときでも一本の強い芯を持っている。
それがリリーナ・クイント。
再び貴族の地位を取り戻そうとしているからこそ、その心意気を失ってはいけない。
彼女の言いたいことは分かる、でもそれは凶器の前では無力と化すのだ。
だから、彼女の誇りを踏みにじってでも、僕が止めないと!
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危険です! お下がりください!
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頼りにしてるよ、ルノ
彼女は微笑を浮かべてそう言うと、こちらへ一直線に走って来る男の進行方向で立ち止まる。
ここは通さないと、気丈ににらみつけていた。
なんて危険な……けど、それでこそリリーナ・クイントだ。僕や目の前のちっぽけな悪意なんかじゃ、その強い意志を曲げることはできない。
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止まりなさい!
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うるせぇ、どけぇぇぇっ!
男は、左にバックを抱えたまま、右手で懐に忍ばせていたナイフの柄を握り抜く。
その白い凶刃をリリーナへ向けて突進してきた。
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リリーナさん! くっ!
戦うしかない、大切な友人を守るために。
僕が決意したそのとき、あることに気付いた。
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これは……よく、見える!
普段であれば、敵の挙動を見極めるにはもっと近づき、よく観察する必要があった。
だが、視界を遮るものがない今、周囲の状況から敵の一挙手一投足までを一瞬で見極めることができる。
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これならっ!
カーネル家には、代々伝わる『秘剣』があった。
だが、それはいつしか灰色の世界に閉ざされたことで使えなくなり、その存在すらも忘れかけていた。
しかし、新しい世界で今、かつての研ぎ澄まされた感覚が戻ってきている。
全身に鬼人としての力がみなぎっているのだ。
――隠密式縮地――
僕は地を強く蹴り、姿を消した。
同時に地は砕け、烈風が吹き荒れる。
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突如、男が苦しそうに声を漏らした。
なにが起こったのか分からず、目を見開く彼のみぞおちには、僕の拳が食い込んでいた。
僕がゆっくり拳を引くと、男は苦悶の表情で腹を押さえ後ずさる。
だが、その瞳から闘志は消えていない。
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てめぇぇぇっ
男は不意打ちに青筋を立てつつも、憤怒の形相で僕をにらみつけ、ナイフを振り上げた。
周囲で悲鳴が上がる。
だが、凶器と悪意を向けられているというのに恐怖はない。
だって……
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……遅い
僕は流れるような動きで腰を落とすと、斬鉄剣の鞘を腰で構え柄を握る。
居合の構えだ。
あまりにも遅く感じる相手の挙動を見極める。
そして――
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――見えたっ――
――不可視の一閃
次の瞬間、宙を細く白い光が走り、鋭い風切り音が響く。
一瞬ののちに描かれた光の軌跡は、ナイフの持ち手のやや上を通過していた。
そして振り下ろされた男の右手のナイフには、刃がなく……
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バカなっ!?
男は驚愕の声を上げた。
遅れて、ナイフの刃が地面へ刺さる。
うん、我ながら綺麗に斬れている。
男は目を白黒させ、わけが分からないとナイフの持ち手と刃を見比べているが、無理もない。
だって、いまだ斬鉄剣の刃は鞘に納まったままなんだから。
それがカーネル家に代々伝わる『秘剣』。
敵を斬るのなら、刃を見せない。
それこそ我が秘剣の神髄だ。
あまりに早すぎて現実離れした出来事に、誰もが硬直していると、ようやく騎士たちが駆けつけた。
彼らは婦人に事情を聞くと、すぐに男を取り押さえる。
そして、時間が止まったかのように固まっていた周囲の通行人たちが、ようやく動き出した。
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す、すげぇぇぇっ!
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よく分からんけど、あの姉ちゃんが一瞬で倒したぞ!
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素敵っ、お姉さまぁぁぁっ!
鼓膜が破れんばかりの歓声が響き渡った。
向けられていたのは、賞賛や尊敬の念。
僕は初めての出来事に頭が真っ白になり後ずさる。
そして恥ずかしさに耐え切れなくなり、慌ててリリーナの元へ駆け寄った。
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に、逃げますよ、リリーナさん!
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え? ちょっ、待っ
彼女の返事も聞かず、その手を引いて脱兎のごとく走り出す。
泥棒のほうはもう大丈夫だろう。
バックは持ち主の元へ返り、騎士が犯人を縛り上げ、駐屯所へ連れていくはず。
僕はただ、逃げることに集中しよう。
あまり注目されると、正体がバレる危険性がある。
そうなっては破滅だ。
それだと言うのに、手を引かれて走るリリーナは、なぜか楽しそうに笑っていた。
僕たちは、しばらく走って人気のいない路地に入る。
ここまで来ればもういいだろう。
リリーナはさすがに走り疲れたのか、息を切らせていた。
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君はぁ……さすがだなっ……これだけ走って、息一つ乱れていないなんて……
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まあ、これでも一応は鬼人ですし
「そう言えばそうだった」と呟き、リリーナはゆっくりと息を整えた。
汗でピッタリと顔に張り付いた髪がなんだか色っぽい。
僕は彼女から目をそらしつつ、問いを投げた。
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どうしてあんな危険なことをしたんですか?
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言った通りだ。あのままではご婦人が悲しむと思った
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そうですけど、リリーナさんが傷つく可能性だってあったんですよ? 下手したら命を落とすかもしれなかった。危ないですから、ああいうことはもう止めてください
僕は真剣な表情で少し強く言った。
今回は大丈夫だったから良いものの、下手すれば大けがを負っていたかもしれないんだ。
護衛としては複雑だけど、絶対に守ってもらえると思い込まれるのは避けないといけない。
それが油断を生み、いつか取り返しのつかない事態を招くから。
リリーナは、反省したように眉尻を下げ謝った。
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そうだね、すまない
驚くほど素直だ。
こういうまっすぐなところは、とても好ましく思う。
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ぼ――私のほうこそ、生意気なことを言ってごめんなさい
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いいんだ、それでこそ護衛というものでしょう?
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ご理解頂き、ありがとうございます
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でも、結果的に想像以上の成果が得られたんじゃないか?
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どういうことですか?
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君の力だよ
思いもよらない発言に、僕は目を見開いた。
ド素人のはずのあなたが、どうしてそれを……
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リリーナさん、もしかして気付いて?
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いやいや、あまり買いかぶりが過ぎるのも困るな。ただ君が、その姿になったことで、前よりも生き生きとしているのが分かるんだ
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まったく、困ったお方ですね、あなたは
ため息がこぼれる。
あなたの言う通りだ。
僕はいつの間にか、かつての感覚を取り戻し、再び秘剣を使えるようになっていた。それに気付くことができた。
今になってみると分かる。
これは視界がクリアになったことによる空間認識能力の向上だ。
今までは長い前髪が視界を遮ることで、空間認識能力が欠如していた。距離やタイミングを見誤ることもあった。それで傷つき血を流すことも。
つまり、自分で自分の可能性を制限していたんだ。
だから、広く遠くまで見通すことができるようになった今、不思議と自信が満ちていた。
セーブがなくなった秘剣の力、彼女に捧げよう。
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さて、今日はこのくらいでいいかな? 昼食でもとって帰ろう
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え? 私はてっきり仕事をするものだと思ってたのですが……
実は、それも少し楽しみしていた。
彼女がどうやって金銭を得ているのか、どのようにしてあの生活を維持しているのか、まだ教えてもらっていない。
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今日はいいさ。君もその格好にまだ慣れないだろう?
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まさか、私のためだけに?
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さて、どうかな
リリーナは袖で口元を覆って上品に笑うと、背を向けた。
この人は本当に……気高くて、美しくて、優しい人だ。
その温かさが僕の胸を満たしていた。